one boy達のテニスへの想い・・・毎月10日、25日更新!!
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●第17ゲーム『夢を待つ里で』
ここは東京某所にある居酒屋。
旨くて、安くて、居心地がいい。
とは言っても数えるくらいしか、お邪魔したことはないんだが。
今日のオススメは、「しめじの天婦羅」
おいおい、この値段でこのボリューム?
大丈夫か、この店の台所事情は?
なんて心配は、焼酎のソーダ割りを二杯のんだら、どかに行っちまったけどね。

で、その天婦羅を「ウマイウマイ」と幾つも頬張ってるテニスコーチが、目の前にいる。
こいつとは来月で10年の付き合い。
コーチとプレーヤーが最初の関係。
あの頃のお前はまだ5年生だったよねぇ。
あれ?6年生か?
ま、いいや。
そんな細かいことは忘れちまったよ。
大人に交じって笑顔でラケットをビュンビュン振り回してた姿は、
今でも簡単に思い出せるのにな。

そんなお前が大学を卒業して、テニスの道に足を向けてくれたのは、なんだか嬉しい。
俺のやってきた事が少なくとも間違ってなかったってことじゃねぇか?
今、真摯にジュニアレッスンに取り組んでいるお前も“夢”があるだろ?
それをひたすら追いかければ?
綺麗な花嫁でも、カッコいいテニスコーチでも、どっちも素敵じゃねぇか!
な?
だから明日からまた笑顔でボールを追いかけようぜ!
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●第16ゲーム『ソフトでも♪ハードでも♪』
「中学に入ったらソフトテニスしかないんだよね。どうしたらいい?」
小学校を卒業したジュニアが良く聞いてくる。
「入ったほうがいいのかなぁ・・・」

そうなんだよな。
中学のテニス部っていったら、ほとんどがソフトテニスなんだよ。
特に公立校の硬式テニス部なんて地域に数えるくらいしかない。
何で?オリンピック種目なんだけどねぇ。
あっ、そうだ!確か文科省の指導要項に入っていないからなんだよなあ。

もともとソフトテニスって、明治時代に坪内玄道によって考案されたもの。
柔らかいゴムボールを打ち合う日本生まれのテニスの事。
当時はテニスの道具が高価な輸入品だったから、ドイツ製のゴムボールを使用して
行ったってのが起源とされているんだ。
日本国内でフェルトのボールを作る技術がなかったしね。
コートの大きさは硬式テニスもソフトテニスも一緒だし、
ルールも共通のところもあるから、いってみれば兄弟みたいなもんだね。
硬式テニスが兄貴で、ソフトテニスが弟、でいいのかな?

弟に張り合うわけではないんだけど、中学の硬式テニスの状況は兄貴として
もう少し頑張ってほしいなぁ。
俺達One Boyも及ばずながら手助けしてるんだよ。
スクールの入れ替えたボールを近隣の中学テニス部に送ってあげたりね。
新規のテニス部が増えるわけではないんだけど、既存のテニス部がより発展する為に。

で、「入ったほうがいいのかなぁ」の返答だけど。
これは本当にデリケートで難しい問題。
ソフトテニスのあの厚い当たりのフォアハンドなんて、手に入れたらスゴイ武器に
なるんだけど、それは「ソフトテニス→硬式テニス」の場合。
「硬式テニス→ソフトテニス→硬式テニス」はなあ…。
俺の周りでは、中学の部活は他のスポーツにして、スクールでテニスを続けることを
勧めるコーチも多い。
でも、ソフトテニス部に入部ながらスクールも続けてくれる子も確かにいて、
観ているとフォアの体の使い方が上手になる子が目立つ。
だから、ソフトテニス部に入ると決めた子には、いつも「行ってこい!」
って送り出しつつ、「戻って来いよ」って付け加える。

そんな訳だからよろしく頼むよ!な、兄弟!
●第15ゲーム『風を探して』
この前、3月でスクールのアルバイトコーチを卒業する学生を送り出した。
こいつは声がでかくて、見た感じ厳つくて、
泣き虫で、怒りんぼうで、とってもアツい奴。
ちなみに年齢どおりに見られたことなんて無かったな。
俺が初めて奴と出会ったときは、「こいつは絶対年上!」と決めつけてたっけ。
苦労したみたいだけど、学校はなんとか卒業したらしい。
良かったな。
けどね、まだ就職はしないんだって。
どうしても学校の先生になりたくて、“浪人”。
なら、「コーチも続けてくれ」と何度も頭を下げたが、
「中途半端になりそうだから」と断られた。
その度、頑固者でもあったことを再確認させられたね。

子どもがとても好きで、キッズクラス(3~5歳)のレッスンの時なんて
誰よりも楽しんでた。
俺も、こいつのキッズレッスンには感動した。
「勝てねぇ・・」と感じた。
勝負じゃないんだけどね。

愛と情熱が満ち溢れていた奴だった。

こいつのラストレッスンの日はスタッフ数名とメシを食って解散。
皆と別れたあとに、二人だけでカラオケBOXに入った。
別に歌いたいわけでは無いんだけど、もうチョッと話したかったからさ。
まあ、何故か子どもの躾の話しになって・・・・まあいいや。
この話しはまたの機会にね。

「先生になって俺の思いを生徒に伝えたい!」
って、マイク無しなのに大音量だったね。
だけど3ヵ年計画とか言ってたな。
道は険しい?
だが夢は追い続けてなんぼだ。
応援しているよ。

カラオケBOXを出て、始発電車の待ち時間。
俺達に向って一瞬、風が吹きぬけたよね。
これは残冬の厳しい冷たい風か、新春の暖かい優しい風か。
お前がどちらに感じたのかは聞かないよ。
そう言えば、一曲だけ歌ったな。
俺とお前が好きなアーティスト。

“いつの日も 向かい風を探す 風見鶏のように 
真っすぐ時代と立ち向かい 生きてゆきたい 
逃げ出さないように 流されないように 心に深く深く突き立てた 風見鶏” 
風見鶏/コブクロ

いつまでも風が吹き続けますように。
そして、その風に、お前も、俺も負けませんように。
友よ、また会う日まで。
●第14ゲーム『有言実行』
3月某日。
会場は千葉県東金市。
60名のジュニアが2日間に渡り、アツい試合を繰り広げた。
決勝は、昨年の準優勝者のハードヒッターと
今大会初参加のトップスピンプレーヤーの対決。

ハードヒッターは「卒業するまでに、この大会で優勝する!」と
4年前に宣言していた。

4回目のベテラン?だけあって大会中、終始リラックスした態度。
貫禄があったよ。
最後の挑戦となる今年の大会で見事、有言実行。
満面の笑みが印象的だった。

対戦相手のスピンプレーヤーは、ベースライン付近で大きく跳ねる
フォアハンドが武器。

決勝まで危なげなく勝ち上がってきた。
ただ決勝は経験の差からか、明らかに緊張が見えてしまっていたね。
スイングが崩れ、フォアハンドがサービスラインの内側に
バウンドをすることが増える。

そこを叩かれてしまったわけだ。
最後のポイントが終わり、握手を交わしたあと、
俺達運営スタッフの脇を下を向いて小走りで駆けていった。
向う先は更衣室だろ?
思いっきり泣いてきな。
ちなみに一緒に引率で来ていたコーチも目が真っ赤だった。

2日間、この大会を運営し、子ども達の成長を目の当たりにした。

まだ身長の低い小さな女の子は、
初日は苦労していた高く跳ねるボールを2日目は上手に打ち返してた。
体重の乗ったいいボールが決まると、ガッツポーズをしながら「よしっ!」だよ。
いい表情だったね。

初参加の男の子は、初日は「きゃっきゃっ」と騒ぎながらボールを打ち返していた
だけなのに、2日目は「アイツはスライスが苦手だ」なんて分析していたよ。
もう立派なテニスプレーヤーだね。

コートに対戦相手と二人きりになって、何もかも自分達でやらなきゃいけなくて、
助けてくれるコーチは遠くから見ているだけ。
こんな経験を2日間で5試合以上。
否が応でも成長するよな。

けど、けどちょっと待ってくれよ。
100の練習より、1の試合。
それは分かるんだけどさ。
One Boyな俺たちは、“100”の練習を出来るだけ“1”の試合に
近づけていかなきゃいけない。
そうだろ?
彼等の成長に感動するばっかりじゃなくて、この目で見てきたものを
レッスンにフィードバックさせるんだ。

俺は決めた。
見せてやるんだ。
一番になるための景色を。
だから俺についてこいよ。
そして、今から言うことを覚えておいてくれ。

『いつか、絶対に、あの舞台に立たせてやる!』

約束だぜ!待ってろ!ジュニア!
●第12ゲーム『ごめんなさいが言えますか?』
今日は出張レッスンで河口湖に来ている。
富士山の見えるコートで青空の下、思いっきりテニスボールを追いかける!
・・・はずだったんだけど、生憎の雨。
朝なんて雹が降ってきたよ。
同行した若いコーチが、「ウヒョー」なんてつまらない駄洒落を言って
重い空気を吹き飛ばそうとしていた。
これもレッスンに来てくれた方への、奴なりの気遣いだったんだろう。
レッスンはインドアがあるから大丈夫。
ただ、4面予定が1面に変更。
インドアを使いたいお客は俺達だけじゃないので、仕方ない。
四の五の言っても始まらないので、あきらめて
今出来る最高のパフォーマンスを目指したよ。

俺達のコートの隣では6人くらいの家族連れが楽しそうにテニスしていた。
リーダーと思われるのは父親、だろう。
子どもたちにアツくなって教えてたな。
これは、いい光景だった。

で、途中、その息子が打ったボールが俺達のコートを横切って転がって行った。
父親の命令?なのか息子が必死になってボールを拾いに行くわけだな。
ラリーをしている俺の目の前を走り抜けてね。
最初はちょっと俺も戸惑っちゃって、何も言えなかったんだけど。
もう一度あったんだ、走りぬけ。
「危ないぞ!」
つい大声で叫んじまったんだ。
息子はちょっと俺と目を合わせた後、何も言わずに自分のコートに戻っていった。
もちろん俺の声は父親にも届いた。
そうだろう?
家族にテニスを教えることに夢中で聞こえなかったかい?
俺も聞こえなかったよ、貴方達からの「ごめんなさい」が。

ジュニアのレッスンをしていて子どもたちが打ったボールが
ぶつかることは良くあるんだ。
もちろん彼らは俺の事を狙ってなんか無いんだよ。
うまくコントロールが出来なかっただけ。
それは知ってる。
けどね、当てた子が照れ隠しなのか、笑っていることがある。
言えないんだよ。
「ごめんなさい」がさ。
(もちろんその後は俺の説教TIME?いやいや話し合い、だけどね)

何でだろうね?

簡単だよな。
河口湖で見た父親が答えじゃない?
大人がきちんと謝らないからでしょ。

俺達がジュニアレッスンに臨むときの“心得”に、
『自分自身の失敗を認めて、子供にごめんなさいが言えますか?』
ってのがある。

これを読んでる指導者が何人いるかは知らないけれど。
胸に手を当ててよく考えてみて。
過去に何回あった?
ちゃんと失敗に気付いた?
言えた?

『ごめんなさい』がさ。

●第11ゲーム『宿敵』
俺には倒さなければいけない奴がいる。

ソイツはしゃがれ声で、
冬だって真っ黒に日焼けしていて、
背丈が俺の倍くらいあるんじゃないかと思うくらいの長身プレーヤー。

くそ重たい真っ赤なラケットを使ってて、
いつもはゆっくりなボールを打ってくるくせに、
俺の時にはフルスイングしてくる。
きっとアイツも俺の事を意識してんだろう。
俺も必死に喰らいつくんだけど、あと一歩でやられちまう。
まだ、ほんのちょっとだけアイツの方が上手。
『フン!アイツの方が少し早く始めてたからな』
言い訳じゃないけど、自分に言い聞かせて練習を続けるんだ。

アイツはお人好しなのか?
いや、きっとそうだ。
何故かって?
ラリーの後も、試合の後も、必ず俺にアドバイスをしてくるんだぜ。
スポーツの世界は礼儀も大事。
もちろん俺は姿勢を正して耳を向けるさ。
奴が言ってくることは、確かにもっともな事ばかり。
悔しいが受け止めるしかない。
『俺にアドバイスしたことを後悔させてやる』

今日もスクールの特別レッスンがあるから、
お母さんにお願いしてアイツのイベントに申し込んだんだ!

今日こそ勝つぞ!

待ってろ!コーチ!
●第10ゲーム『心に愛を、スポンジに水を』
俺がガキの頃はボタンが二個しかないゲーム機が普通。
それでも所謂ゲームっ子もいたけど、
ほとんどの奴等は学校の終業チャイムと同時に門を飛び出した。
誰よりも何よりも速いと信じてるチャリンコに股がってね、
自然とたまり場に集まったもんさ。
木に登って秘密基地を作ったり、道なき道を掻き分けて広場を見つけたり。
誰かがボールを一個持ってきたら、野球かサッカーかキックベースが始まったり。
全身を使って一日を過ごした。
現代の子どもたちってのはどうなんだい?
ボタンが何個もあるゲーム機のコントローラーさばきはたいしたもんだよ。
けどよ、増えてるんだって。
前転が出来ない子。
キャッチボールが出来ない子。
サッカーボールを空振りする子。
走る時、腕の振りが上手に出来ない子。
なんなんだよ、そりゃ?
木登りなんて未知の世界なのか?

誰もが駆け回ることができた裏山は、木々が斬り倒され
某有名メーカーのアウトレットが建ち並んだ。
思いっきりボールを投げられた広場は、新しい道路が引っ張られた。
唯一見つけた公園は、「球技禁止!」の立看板。

結局、大人の都合でひ弱な子どもになっちまったんだろ?
テニスを初めてやった子がバウンドしたボールをラケットに当てられないなんて
珍しいことじゃないんだ。
体を使って遊ぶ機会が減って、脳からでた指令を身体の先々まで伝達する神経が
発達してねぇんだよな。

子どもなんてスポンジだから、与えた水は残らず吸収する。
じゃあ俺達がすることはなんだ?

『コーディネーション・トレーニング』

今、俺は、いや俺達はこの武器を使い、指先のボタンさばきしか発達していない
彼等に水を与えるんだ。

準備はいいかい?

子ども達の成長は待ってくれない。
まごまごしてんなら置いてっちまうからな。

けど、一つだけ。
一つだけ自分の心に問いてみてくれ。

そこに愛と情熱はあるんだよな?

もし、もし万が一にも無いのなら、きっと俺の漕ぐチャリには追い付けねぇよ。
●第10ゲーム『威厳』
「お父さん!今日ね、コーチに勝ったんだよ。
 でねコーチがね、マイッタ~!ってね・・・」

目を輝かせて、娘が私に言ってきた。
テニススクールから帰ってきて、夕飯を食べて、
好きなテレビを見るまでいつもこんな感じ。
私は娘の話を聞きながら、頷いたり、相づちをうったり。

半年程前、『スポーツの一つもやらせなきゃな』なんて思ってるときに、
娘と街を歩いていたらテニススクールがあった。
自分自身も学生の頃にテニスサークルに入っていて
(とは言っても練習なんかあまりやらなくて、飲み会がメインだったかな?)
『とりあえずやらせてみるか』と通わせてみたよ。

娘はまだ小学生。
以前からよく話はしているんだが、アニメかゲームの話題しかなかった。
去年の誕生日のプレゼントを探ってるときなんて、
次から次に発売されるゲーム機の名前しか挙がってこなくて。
まあ、結局それに決めちゃったんだが。
家内が言うには、今年の誕生日は新しいラケットをおねだりされてるらしい。
そうか・・・知らなかったな。

1ポイント獲ったくらいかもしれないけど、そうだとしても
コーチに勝つなんて、どれだけ上手くなったんだろう?
そういえば、最初の体験レッスンの時に一緒に付き添っただけだ。

『お父さんも昔やってたんだぞ』
なんて威張りながら、ラケットの振り方を教えたこともあったが・・・。
そのうち逆になってしまうのか?
う~ん・・・。

よし!来週の日曜は娘の後を着いて行ってみるか!
そうだ、たしか、あの頃使っていた当時最新式のラケットが
まだ物置の奥にあったはず。
・・・やってみるか!
父の威厳をもう少しの間、維持するために。
●第9ゲーム『本当の理由』
プレゼントをもらった。
綺麗な折り紙に絵が描いてあったよ。
一枚は動物園に行った時の絵。
もう一枚はチョウチョが描いてあって、ピクニックかなんかかな?
どちらもとっても素敵な絵だった。

贈り主は今月でスクールを辞めてしまう女の子。
まだ5歳。
この子との出会いは鮮烈で今でも覚えている。

「ねぇ、どうしてボールを打つの?」
『ビューンってボールが飛んだら、楽しくないかい?』
「楽しくない・・・」

これだよ。
ちょっと言葉が詰まっちゃったよ。
こんなこともあったな。

「私ねぇ、テニス好きじゃないの!」

けどね、何回かレッスンを重ねるうちに分かってきたんだ。
こんなことを言う理由が。

ある時、いいボールを打ったのを俺が褒めた。
俺が勝手に1人で喜んでたんだけど、ふとその子の顔を見たら、すっごい笑顔。

この子は、上手くできないことがとっても嫌だったんだね。
「好きじゃなければ」できなくてもいいんだって、
自分の中で線引きしてしまっていたんだ。
・・・・俺の責任。
この子に、「テニスを好きになってもいいんだ」って思える
きっかけを与えてあげられてなかった。
最後のレッスンは楽しそうにテニスして、俺に笑顔の贈り物をくれて帰ってったよ。

彼女がここを去ってしまう理由。
テニスを好きになってくれていたか、どうか。
本当の事は分からない。
けどこの子は俺の心の中にずっと居続けるだろうね。

近い未来でも、遠い将来でも構わないから、ラケットを再び握って欲しい。
その時が来るまで俺はコートに立っているから、またテニスしてくれよ。
そのときは、この贈り物のお返しが出来ると思うから。
●第8ゲーム『トーナメント』
ビッグトーナメントがやってくる。
3月の終わりに系列スクール約3,100名のうち、小学3年生から6年生でガッツ溢れる
ジュニア64名が首都圏各地から千葉の東金に集結する。

俺は去年この大会に運営スタッフとして参加。
一試合一試合、経験するごとに成長していくジュニアに、ただただ感動。
最後まで子ども達の真剣な表情に見とれていたよ。
スクールのレッスン中とは違った表情だ。
そういえば昨年優勝した子は、他の参加者とはちょっと次元が違っていたな。
聞いたところによると、「このトーナメントに勝つために一年間頑張ってきた!」
らしいよ。
納得だね。
こんな純な気持ちで目標を達成するなんて、口では簡単に言えてもなかなかないよ。
親御さんもいらしてたけど、感動だったろうなあ。
連覇を目指して今年も親子で来るかな?

うちのスクールからもリピーターが2名参加予定。
1人は女の子なんだけど、この子が負けるごとに泣いちゃって泣いちゃって・・・。
セカンドサーブを打つ前に涙を拭いてた記憶がある。
そして試合終了後にはとりあえず俺のとこに来るんだけど、泣いちゃう。
まるで俺が泣かしたみたいだったよ。
で、俺は頭を撫でてあげるしかないわけ。
「よくやった。いい試合だったよ」
  
普段はおてんばで、俺の事をからかってくる子。
順番は必ず一番に並ぶ子。
だけどボールは一生懸命に追う子。
俺に負けると、不機嫌そうな顔をする子。
テニスがとっても大好きな子。

今年は大丈夫だよ。
負けちゃったら、俺がしっかり抱きしめてあげるから・・・じゃなくて!

“貴方もこの一年間頑張ってきたんだから!”
●第7ゲーム『郷に入ってもgo my way!』
今日は出張レッスンで都会の真ん中にあるスクールに来た。
ラストはジュニアクラス。
場所が違えば勝手が違う、てな感じで、そこのやり方に沿ってやったんだ。
前半はね。
ジュニア達も知らないコーチが来て緊張してたみたいだしさ。

でもさ、ジュニアと俺の間をボールが行き来してくると、我慢できない訳。
血が沸騰してくるのが分かるんだよ。

「今、この時は一瞬だけ」

この場を逃してしまったら、この子達にはもう会えないかもしれないんだよ?
俺の想いを伝えられるのはあと一時間ないんだよ?
なんて考えたら、柄にもなく、いや柄通りか、アツくなっちまった。
距離を感じていたジュニアに、一歩二歩突き進んで近付いた。

やっぱりね。
あいつらは、見知らぬ俺を警戒しているじゃなくて。
自分を出して来ない俺を不信してたんだな。

引いてるのは俺だったんだ。

距離を縮めたら、笑顔だわ、良く喋るわ、話聞くわで。
表情が全然違うんだよね。
そっからはコート上の体感温度が3℃は上がったかな。

そして、俺の「愛」は多少なりとも伝わったはずさ。

世間のジュニアを担当してるコーチ、お前らはどうだい?
何割くらいなんだよ、踏み込めてる奴は?
出来てるよ、って答えられなかった奴。ちょっと迷った奴。
とにかく即答できなかった奴。
お前ら気合い入れ直してくれよ。
だってこれからの時代は目の前の奴等にかかってんだぜ!

あぁまた体温があがっちまった。
いきつけの呑み屋にでも行って、同期のあいつに話きいてもらうかな。
帰りの電車でメールでもしてみるか。

じゃあな、またどっかのコートで会おうぜ!
湾岸テニスジュニア!
●第6ゲーム『parental eye・愛』
「あのお母さんスゴイっすよね~。レッスン最初から最後まで見てましたよ」
年齢が俺と一回り近く離れてる若手コーチが言ってきたよ。更にこうも続けた。
「このクソ寒い時期に“見てるだけ”なんて俺だったら無理だなぁ」
そりゃお前らはまだ自分がテニスしたい“やんちゃ”だからな。

その母親の目は常に我が子を追っていたよ。
我が子の成長を確かめてるのか、俺のレッスンをチェックしてるのか。
どっちかな?どっちもか?
どっちにしろ、「親の愛」なんだろう。
独身で自分の子どもがいない俺には、まだ辿り着けない聖域。
いいんだ。俺は「コーチの愛」で応戦するから。

声に出さなくとも伝わる“愛”。
声を張り上げて伝えようとしている“愛”。
勝ち負けじゃないけど・・・母強し、だねぇ。

って、そんな俺の話を聞こうともしないで、
「で、なんで見てんすかね?暇なんすかね?」

こいつには“愛”そのものを教えてやらなきゃダメみたい。
“愛”は与えられるものではなくて、自ら与えるものだからさ。

仕方ないから、いつもの居酒屋で説教してやるよ。
もし、分からないようだったら、まだコートに立つべきじゃないぜ。

分かるかなぁ?テニスボーイ!
●第5ゲーム『愛と王者と思春期と』
ジュニアってのは、コーチがマジにぶつからないとマジになってくれないもの。
そう、真剣勝負の連続で信頼関係を築いてくんだ。
これは俺が学生アルバイトでコーチをやり始めた頃(今思えばコーチって呼べるような
もんじゃなかったかな・・・)、その当時のヘッドコーチに教え込まれたこと。
「愛だ!」「パッションだ!」「流すな!」ってのが口癖で、呑み屋でその日の
レッスンの説教になると、タバスコの瓶で俺達の頭を叩くのが手癖。
たまったもんじゃなかったけど、毎日?呑みに行ってたなぁ。
今でも頭が上がらない上司なんだけどね。

おっと、話しがそれたかな。

今、コートでジュニアの連中に、この思いで接している。
情熱は注いだ分だけ、返ってくる。
俺が走らなければ、彼らだって走らない。
真剣な目をすれば、真剣な顔になるんだ。
だから、手は抜けないし、抜く気も無い。
いつか「このコートでテニスを始めたんだ!」って世界王者が言う日が来るまでね。

けどね、小学校高学年くらいの女の子はちょっとムズカシイ・・・。
大人の階段を登ってるって言うの?
たまに見えない壁があるんだよ。
まだまだだなぁ・・・俺。
ま、めげずにぶつかっていけば、いつかは崩れるだろ!

あれ?また話しがそれちゃったかな?

待ってろ! 思春期Girls!
●第4ゲーム『熱き思い』
「集合!」

ラリー練習が始まってまだ五分。
俺の中の抑えきれない何かが、声のトーンを一段階上げさせた。
集まってきた何人かのジュニアはもう気付いてたよ。
「怒られる」みたいな顔をしてる。
大丈夫。
怒らないよ。
ただ、聞いて。

「今日は何でここに来たの?」

さっきとは逆に、耳をすまさなきゃ聞こえないくらいの声で聞くんだ。
しばらくは、皆無言。
誰かが口を開く。

「テニス・・・・」

って、更に小さい声でさ。

「じゃあ、ちゃんとやろうぜ。はい、元に戻って。」

それだけ。
それだけ言ったらもう分かってくれる。
皆、いい子で、立派なテニスプレーヤーだもんな。

ほら、これだけでラリーのボールも良くなったし、何より目つきが違うよ。

子どもってのはさ。
無限の可能性を持ってんだ。
ありきたりな言葉だけど。
ダイヤモンドの原石。
磨いてやらなきゃもったいないよ。
・・・・・で、誰が磨くんだ?

俺だよ、俺。
だから、いつだって自問自答さ。

「俺は、今、何をするためにここにいる?」

ちょっと熱くなっちまった。
けど、この思いはいつか伝わるはず。
目の前にいる君達に。

待ってろ!ジュニア!
●第3ゲーム『ryo-ma』
まだ幼稚園児にもなっていない子。
楽しそうにテニスをしてくれる、とってもいい子。
この子は、俺の事を「コーチ」って呼んでくれる。
けど、まだ「コーチ」が何者か分かってないんじゃないかね?
名前は某有名テニス漫画の主人公と同じ。
将来はテニスプレーヤー?
それとも幕末を駆け抜けたあの土佐藩士からとったのかな?
とりあえず大物になりそうないい名前だ。

で、今日のレッスン。
風邪でも流行ったか、この子以外みんな欠席。
(おいおい、俺ってばとっても人気者だね・・・)

この未来のテニスプレーヤーとミニネットを挟んでラリー。
ついこの前までネットもろくに越さなかったのに。
モノスゴイ勢いのボールが俺の目の前に飛んできた。
(返せるかなあ?!)とニコニコ微笑んで待ってたもんだから、あまりの驚きに
思わず避けちゃったよ。のけ反ったね。
いいボールだったんだよ、ホントに。
こんなとき、俺は心の底からの喜びを体全体で表現するんだ。
「すっごいボールだったよ!コーチの負けだぁ!」
てね。
もちろん演技してるわけじゃない。
本当に嬉しいのさ。
けどそんなコーチの姿を見た子どもはもっと嬉しくなるだろ?

ちっちゃなテニスプレーヤーは満面の笑みで、
「僕のラケットは強いんだよ!」
「なんで?」
「クマのラケットだから誰にも負けないんだ!」
だって。
確かにいるよ、クマが。
ぶきっちょなスタッフが型紙を作って塗ったステンシルのクマ。

次は負けないよ。
かかってきなさい!
●第2ゲーム『入り口』
今日は午前中に体験レッスンが入ってた。
受講者は中学1年生。
小学3年生からテニスを始めたらしいよ。
三月に埼玉から引っ越して来るらしく、新しいスクールを探してるんだって。

上手い。
ちなみに礼儀も出来ている。どっかのスクールの中学生にみせてやりたいよ。
大人に混じってレッスンを受けてるんだけど、(誰よりもいい球を打ってんじゃない?)
てな感じだ。
うちの小学生クラスが卒業して9ヶ月でここまでいけるか?

行けるよ。
絶対行ける。
もちろん全員。

けど、それにはある条件があってさ。
答えは簡単なんだよ。
俺達が愛と情熱をもってテニスを伝えていること、ね。

俺が子供の頃。
絵を描くのが好きで絵画教室に通ったことがあったよ。
けど、自分の好きな絵を描かせてもらえずに行きたくなくなった。

興味を持たせて導くこと。
俺達の第一の使命は入り口に立たせてやること。
ジュニアの奴等はそこに立っちまえば後は勝手に進んでくものさ。
俺が悔しいのはそんな愛と情熱を持った奴が少ねぇってことだ。

仕方ねぇな。
だったら俺が連れてってやる。
今日の16時30分からは覚悟しとけよ!

待ってろ!ジュニア!
第1ゲーム『願い』
「セレーネ」
日本の月探査機。
2007年、夏に打ち上げられるみたい。
なんでも、俺達の個人的な「願い事」をシートに刻んで持っていってくれるんだって。
宇宙航空研究開発機構もなかなか粋なことをするよ。

さて、俺は何を願うかな?
「世界平和」と「いい女」
どっちにするか真剣に悩んじゃうのか?

このネタを会社の口うるさい、けど尊敬する上司の一人から聞いた時に、ふと思った。
(ジュニアの奴等は何を願うんだ?)

新年一発目のレッスン。
いつもより更に早く階段を上がり、コートサイドのベンチで聞いてみた。

「月に願いを届けられるんだけど、新年のお願いするなら何?」

最新のゲーム機を筆頭に、贅沢品?がポンポン出てきたよ。
去年のクリスマスでそれなりのもの貰ってたじゃねぇか!
尽きないね、子どもの物欲は・・・。
「フェデラーになりたい」とか、「シャラポア!」とかないんかい?

これが現実?
なんて感じながらレッスン開始しようとしたその時だよ。

「コーチに勝ちたい!」

一人の子が小さい声だけど、しっかりと、はっきりと言ったのが聞こえたよ。

ばっかやろう!
そんなちっちゃい願いは月にたのまず、今なんとかしちまえよ。
だから聞こえないふりで準備体操開始。

お月様、さっき言った俺の願いはキャンセルして。
代わりにこれね。
「ジュニアがさっさと俺を倒しますように!」

◎セレーネ『月に願いを!』

●応募のみ:コンピュータ、携帯OK
http://203.140.76.57/resist
●詳細:コンピュータのみOK
http://www.planetary.or.jp/selene/pc/index.html

予告編
毎週月曜午後4時25分。
ジュニアレッスンが始まるちょっと前。
奴等と話すのが楽しみで早めにコートに上がる。
コートな外では友人であり、兄貴でいたいから、もちろんタメ口。

「学校の友達は何かスポーツしてんの?」
『野球!』
『サッカー!』
予想通りのお決まりな答えに、
「テニスはいないの?」
『うーん…どうかなあ』
だよな…なんて感じつつ、
「君はなんでテニスなの?」
『わかんない。けど楽しいよ。』

こんな会話をジュニアと交わして、気合いが入らないわけがない。
俺がこの現状を変えてやる!ってね。

俺がトップジュニアだったわけじゃないし、まだそんな奴等を育てたことはない。
けど、可能性を見つけて広げて送り出すことは出来るよ。
俺が見ることができなかった世界を見てきてほしくてね。

時間だ。
一歩コートに入れば、俺はテニスコーチになり彼等はテニスプレーヤーになる。
タメ口な関係は一時中断。
互いに礼!
『よろしくお願いします!』
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