午前中の暖かな気候が嘘のように、冷たい風が吹き始め、重い雲が空を覆いだす。
頬に冷たい何かを感じたが、
「気のせいだ」
と自分に言い聞かせ、ジュニアにボールを出し続ける。
「大丈夫?頑張れる?」
身長と同じくらいのラケットを両手でしっかりと握り締めた小学2年の女の子は小さく頷いた。
今にもこぼれ落ちそうな涙を我慢しながら。
俺は、今日、その子に会った瞬間からの出来事を頭のなかで思いだし、整理し始める。
分からない。
その少女を悲しくさせている原因が掴めないまま、結局は雨が強くなってきてレッスンは中断。
「みんな中に入って!」
と俺が言い終わる前に、少女はコートを駆け出し、母親の元へ。
俺が何かしてしまったのか?
隣にいた若手コーチか?
クラスの悪ガキ大将のあいつか?
俺は色々な思いを抱きながら、親子の元へ急いだ。
何れにせよ、気付けなかった自分が腹立たしかった。
この子がテニスを嫌いになったらどうする?
彼女のこれからの大きな道を閉ざしてしまったらどうする?
言葉に出来ない悔しさ、辛さが大きな波になり俺を飲み込もうとしていた。
心の中では少女に謝り続けながら、
(ごめん、ごめんね)
「どうしちゃったのかな?」
少女の身長まで頭が下がるように膝を曲げ、腰を落とした。
必死に母親にしがみついた彼女はチラッと俺を見ただけだった。
悲しみの涙が俺の心を震わせ、押し潰されそうになった、その時。
「風がね・・・風が嫌いなんですよ、この子」
一瞬戸惑い、間違った反応だった気がしたが、ちょっと安心してしまった自分がいた。
「ああ、そうなんですか」
「ビューって音がね、嫌いなんだよね?」
彼女は小さく頷く。
それだけだった。
「じゃあ、帰ろうか」
母親の声に、また頷いただけだった。
「さよなら、またね」
そして、俺の声には小さな手を小さく振って応えてくれた。
「バイバイ、コーチ」
外は雨が上がり始め、風も治まってきたみたいだ。
もちろん俺の心の中も同じだった。
頬に冷たい何かを感じたが、
「気のせいだ」
と自分に言い聞かせ、ジュニアにボールを出し続ける。
「大丈夫?頑張れる?」
身長と同じくらいのラケットを両手でしっかりと握り締めた小学2年の女の子は小さく頷いた。
今にもこぼれ落ちそうな涙を我慢しながら。
俺は、今日、その子に会った瞬間からの出来事を頭のなかで思いだし、整理し始める。
分からない。
その少女を悲しくさせている原因が掴めないまま、結局は雨が強くなってきてレッスンは中断。
「みんな中に入って!」
と俺が言い終わる前に、少女はコートを駆け出し、母親の元へ。
俺が何かしてしまったのか?
隣にいた若手コーチか?
クラスの悪ガキ大将のあいつか?
俺は色々な思いを抱きながら、親子の元へ急いだ。
何れにせよ、気付けなかった自分が腹立たしかった。
この子がテニスを嫌いになったらどうする?
彼女のこれからの大きな道を閉ざしてしまったらどうする?
言葉に出来ない悔しさ、辛さが大きな波になり俺を飲み込もうとしていた。
心の中では少女に謝り続けながら、
(ごめん、ごめんね)
「どうしちゃったのかな?」
少女の身長まで頭が下がるように膝を曲げ、腰を落とした。
必死に母親にしがみついた彼女はチラッと俺を見ただけだった。
悲しみの涙が俺の心を震わせ、押し潰されそうになった、その時。
「風がね・・・風が嫌いなんですよ、この子」
一瞬戸惑い、間違った反応だった気がしたが、ちょっと安心してしまった自分がいた。
「ああ、そうなんですか」
「ビューって音がね、嫌いなんだよね?」
彼女は小さく頷く。
それだけだった。
「じゃあ、帰ろうか」
母親の声に、また頷いただけだった。
「さよなら、またね」
そして、俺の声には小さな手を小さく振って応えてくれた。
「バイバイ、コーチ」
外は雨が上がり始め、風も治まってきたみたいだ。
もちろん俺の心の中も同じだった。

