one boy達のテニスへの想い・・・毎月10日、25日更新!!
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★第18試合 『3600秒の真剣勝負』
「叩いた~!」
と言ったジュニアの声を聞いて、チーフコーチがラリーを止めてそこに近づいて行った。
「何だよ?どうした?」
「叩いた。ラケットで」
俺もラリーを止めて、その状況を見ていたけど、
明らかにチーフの顔つきが怒ってるのが分かった。
「何で叩いた?」
「・・・・」
別の奴が、
「ふざけてた」
「どっちが?」
「どっちも~」
チーフはラケットを置いて、そこに座り込んでジュニア達を見た。
「見てたよ。君が叩いたところも、ふざけてたことも、み~んな見てた」
「・・・・」
「ラケットは叩く道具なのかい?」
「違う・・・」
「じゃあ叩くな。絶対にだ。ラケットはボールを打つものだ。
テニスをするためのものだ。
これからも君がラケットで人を叩くというなら、今すぐコートから出ていきなさい」
「・・・・」
「どうするんだ?」
「・・・ごめんなさい。もう叩かない・・・」
「よし。じゃあ君逹は何でふざけてたんだい?」
「・・・・・」
「何でだい?」
「コイツが悪口言ってきた・・・」
「何て?」
「下手くそって」
「だってコーチとのラリーでアウトばっかりだったから」
「だから下手くそって言ったの?」
「・・・うん」
チーフの顔が少し優しくなって、
「いいか?アウトすることは凄いことなんだよ。
ボールがたくさん飛ぶってことだからさ。これはスゴいこと。」
「・・・・」
「分からないか・・・。今は分からなくてもいいよ。
だけど下手くそって言ったことは謝りなさい」
「・・・・ごめんなさい」
「よし」
これでまだ終わらなかった。
「で、君達はふざけてるこの子逹を何故止めなかったんだい?」
思いもよらなかった方向にお説教が向いたんだ。
「・・・・」
「みんな同じコートでテニスをしているんだから止めなきゃダメだよ。
なんでか分かるか?」
「仲良くしなきゃだめだから?」
「うん。それもある。けどね、もっと大事なことがあるんだ。
・・・いま、コーチがラリーを止めて何分たった?」
「3分くらい?」
「そうだね。その3分でコーチと何回、何球、何人ラリーができるの?
どれだけ上手になれるの?
みんなは上手くなりたくないの?」
「・・・なりたい」
「じゃあ1時間しかないレッスンでふざけてる子がいたら、
みんな同士で注意しなきゃダメじゃない?」
「・・・はい」
「じゃあ次のレッスンでは、いや今から気を付けようね。よし!ラリーを再開しようか!」

レッスン後のコートでチーフが俺に言った。
「レッスンはさ、1時間しか無いだろ?
このたったの3600秒で俺達はテニスの素晴らしさ、楽しさ、マナーを伝えるんだぜ。
あの子達の中から、世界に通用するプレーヤーが出てくるかもしれないし。
手は抜けないよな・・・」
「けど、今日の180秒はきっと大きな意味を持っていますよ!」
「だよな!」
「ですよ!じゃあ僕の為に、帰りに3600秒ほど付き合ってもらえます?」
「お前の成長の為に?仕方ねえなぁ。今日は一軒だけな!」
「やりぃ!じゃ、着替えてきま~す!」
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